国産の素材だけで作られた、柚子が香り立つオリーブオイル

 エッセイスト 湧月りろ

オリーブオイルを和菓子に?
ちょっと意外に思われるだろうか。
ところがこのオリーブオイル柚子、驚くほど和菓子に似合う。
おかみの浅原貴美子さんに教えていただいて、よく冷やした水ようかんにかけてみたら、なんとまぁ!
味わいのグレードが一段も二段も上がったのだ。

この香り高い柚子は、特産地として有名な高知県産のもの。
柑橘が大好物なので高知にはよく足を運び、お土産を買い込んだりしているので実感しているのだが、高知の柚子は本当にジューシーで美味しいのだ。
その柚子の果皮をなんと、小豆島の希少なオリーブと一緒に搾ったのがこの商品、
「国産エキストラヴァージンオリーブオイル柚子」。
すべて国産だけで完成した、なんとも贅沢なものなのだ。

柚子シロップなどとは違い、果汁の酸味が含まれていないので、純粋に柚子の果皮の香りを楽しめるところが魅力。
それを上品なオイルが甘く包み込む。
だからこそ、和菓子の繊細さをまったく邪魔せず、上品に香りだけを添えられるのだ。
ぜひ、お茶タイムのお供に使ってみて欲しい。
小豆を使ったものには何でも似合うし、お団子やお餅系、夏には涼し気な寒天やゼリー、みつ豆なんかに柚子の香りを添えてみても素敵。
バニラアイスクリームやシャーベットにかければ、もうたまらない。

もちろん、お料理にも大活躍。
白味噌などのお味噌や、お醤油と混ぜてもすっぱくならず、香りだけをプラスできるから幅広いメニューに使うことができる。
柚子の実が手に入らない季節でも、もぎたての果実の香りを楽しめるなんて本当に幸せだ。

フレッシュさを保つため、ボトルにもこだわりがある。
二重構造になったボトルは、最後の一滴まで空気に触れず新鮮な状態で使えるように工夫されているのだ。
こういう細やかな気遣いも嬉しい。

小豆島のオリーブ栽培の歴史を調べてみると、なんと始まりは110年以上も前にもさかのぼるそうだ。
瀬戸内海に浮かぶ香川県の小豆島は、温暖でおだやかな気候が特徴。
オリーブ栽培にはとても適しているという。
長い歴史の中で脈々と受け継がれてきたていねいな育成方法と、揺るがない品質へのこだわりが、国内外でも高く評価されるオリーブオイルを生み出しているのである。

オリーブの木々を思い浮かべる時、私たちは地中海沿岸の景色をイメージするのではないだろうか。
明るい陽射しが降り注ぎ、海風が優しく吹き抜ける情景…。
小豆島を旅した時、まさにそんな印象を受けた。
初めて訪れたのははるか昔、まだ私が小学生の頃だったか(なんと45年ぐらい前だ…)、
オリーブ園を散策した時に感じたあの思いは今も記憶に残っている。
なんだか、本や映画で見たヨーロッパの景色みたいだなぁ。
憧れの風景がそこにあった。

 

豊かな自然の恵みをたっぷり受け取って育った緑の宝石。
広大とは言えない土地で、手間を惜しまず育てられたオリーブの実をていねいに摘み取り作られるオリーブオイル。
決して大量には生産できない。
その中でも希少なエキストラヴァージンだけを使うという、この贅沢さよ。

一滴に込められた愛情の賜物を、優雅な気分で味わいたいものだ。

2025年6月14日

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