愛らしさを表す“アマービレ”は誰もが好きになる優しいオイル EXVオリーブオイルAmabile
エッセイスト 湧月りろ
「アマービレ(amàbile)」は、イタリア語で“愛すべき、かわいらしい、優しい”という意味を持つ言葉。
音楽用語でも楽譜にこの言葉が書かれていることがあり、愛らしい演奏で、という指示だ。
ワインの風味を表す用語でもあり、中甘口のことを指す。
この言葉を冠したエキストラヴァージン・オリーブオイルがある。
オイルだけをスプーンに入れて味見してみると、あまりにもこの言葉がよく似合う味わいで「うんうん、なるほど!」と頷いてしまう。
まろやかでクセがなく、ほのかな香りがふわっと口に広がる、どこまでも優しい第一印象。
苦味や辛さもほとんど感じず、オリーブの実のやわらかい風味だけを大切に取り出したようなテイスト。
そして喉にほんのりと甘みを残していく。
まさにアマービレ! 誰からも愛されるオリーブオイルだ。
オリーブオイルをあまり使ったことがない人でも、この優しい味わいにはきっと惹かれることだろう。
アマービレがさらに威力を発揮するのは、加熱した時。
ただただ野菜を炒めただけで、野菜の甘みを倍増させてくれる。
後味に残るまろやかさが贅沢で心地よい。
とにかくシンプルに、まずは夏野菜をサッと炒めて塩をふって食べてみて欲しい。
特におナスとの相性がバツグン!
野菜ってこんなに甘かったっけ? なんて、胸がときめいてしまう。
ビタミンカラーで元気が出る簡単なレシピをご紹介しよう。
<レシピ>
◆夏野菜のオリーブオイル炒め
【材料】2人分
ナス:2本
3色パプリカ:1個分ほど
オクラ:6本
アマービレ:大さじ1~2
塩:適量
ブラックペッパー:適宜お好みで
- パプリカはナスと同じぐらいの大きさに細切り、オクラは斜め半分にカット、最後にナスを拍子木切りにする。
- フライパンにアマービレを入れて中火にかけ、アマービレを広げてからナスを投入。お箸で素早く転がしてオイルをナス全体にからませたら、しばらく焼く。
- ナスがしんなりすると染み込んでいたオイルが出てくるので、そのタイミングでオクラを投入して少し炒め、パプリカを加えたら少し火を大きくしてさらに炒め、塩をふったら出来上がり。盛りつけてから好みでブラックペッパーをふる。
難しく考えずにただ炒めるだけでOKだが、コツはナスの扱い方。
私は以下の3点に気を付けている。
- ナスの一番おいしい部分はヘタがある先端。ヘタは決して切り落とさず、ガクをむくように取り除く。
この部分にオイルを染み込ませてしっかり焼いた時の美味しさったら!!
最高のご馳走だ。
病みつきになり、絶対にヘタを切り落とさないぞ! と決意するはず。 - ナスを炒める時は、まず全体にまんべんなくオイルが行き渡るように、薄く敷いたオイルの上で素早く転がすのがポイント。
皮にもオイルをまとわせることで色褪せずキレイなナスの色を保ったまま仕上がる。
そのため、切る時にも転がしやすさを意識してカットするといい(細めの乱切りもおすすめ)。
ちなみに、切ってすぐ炒めれば水にさらす必要はないので、カットは最後に。 - ナスは実がスポンジ状なのでオイルをすべて吸ってしまうが、火が通ってしんなりすると再びオイルが染み出てくる。
そのタイミングを見計らい、出てきたオイル分を利用して他の野菜を炒めることで、ちょうどよいオイルの量で上手に炒めることができる。
夏野菜の鮮やかな色合いは、目にしただけでも元気がもらえそうだけれど、実際、ビタミンカラーと呼ばれるほどに栄養をたっぷり含んでいる。
特にβカロテンなどの脂溶性ビタミンは、油と一緒に食べることで体への吸収率がグッと上昇する。
水に溶けやすく、茹でると失われやすいビタミンCも、炒め物ならしっかり摂れる。
元気を保ち、夏バテ防止にピッタリな夏野菜の炒め物だが、肝心なのはやっぱり使う油の質だ。
良質の油を使ってこそ、美味しさも栄養も活かされる。
誰にでも愛される優しいオリーブオイル「アマービレ」は、良質なのにお財布にもちょっと優しいところが嬉しい。
これなら天ぷらにだって使えそう。
自分用には大きい瓶でたっぷり常備しておきたいし、この夏、ミニボトルを高齢の叔父や叔母への贈り物としても選んでみるのもいいな。
かわいらしく、優しい「アマービレ」の言葉とともに。
2025年6月13日