いつも あぶらが ある くらし
山中油店 浅原貴美子
私が生まれ育ったのは、あぶらやさん。
揚げもんがごちそうやった時代、一升瓶は家庭用の食用油、飲食店さん向けには一斗缶、京都市内を自転車で配達して回っていました。(※)
お中元やお歳暮には、「サラダ油ギフトセット」が人気の贈答品。
西陣織の職人さんが多かったこの地区ならではの油として、織機に注す油も扱っていました。
また当時はお客様が持って来られた瓶に油を入れて販売する「量り売り」が中心でした。
その量り売りをするのは、店では古株のおっちゃん。注文が入るといつもピッタリ横にくっついて、柄杓ですくった油がとろーりたらりときらめきながらゆっくり瓶に入っていく姿を見つめながら、「きれいやな~」とつぶやいていました。
子供の頃の遊び場が職場に変わった今も、油に対する思いは変わりません。
「あぶらっておもしろい!」と思っていただけましたら幸いです。
(※)一升瓶は1800ml(1.8リットル)、一斗缶は一升瓶10本分の18リットル