大切な人に贈りたい、思いやりの油たち
エッセイスト 湧月りろ
お墓参りに行ってきた。
我が家のお寺さんがある嵐山は、連日の暑さにもかかわらず外国人観光客でおおにぎわい。
メイン通りからほんの少し入った小さなお寺の門をくぐると、先ほどまでの喧騒がすっと消える。
母が亡くなってもう25年。
父は2年前に旅立った。
早いものだ。
今年、山中油店さんの夏ギフトのパンフレット作りを少しだけお手伝いさせていただいた。
いろんな油のギフトセットが用意されていて、これは料理好きの友人に贈りたいとか、これは味にこだわるあの人に、これは健康に気を付けているあの人にと、さまざまな人の顔が浮かんで、とても楽しい作業だった。
そんな中、気になるセットを見つけた。
「オメガ-3の油 3本」というセット。
オメガ-3という言葉は、母が元気だった時代にはまだあまり聞いたことがなかった気がする。
近年になって新たな研究結果が次々と発表されたのか、あれよあれよという間に健康のカギとなる油に注目が集まった。
食生活で不足しがちなα-リノレン酸(オメガ3)。
これは体内では作ることができないため、食品からとる必要がある「必須脂肪酸」だ。
適度に摂取することで、便秘や肌荒れ、アトピーや花粉症の体質改善も期待されるという。
そのオメガ3を多く含む「あまに油」や「えごま油」を取り合わせたセットなのだ。
山中油店さんが厳選した商品だから、本当に身体にいい油。
例えば「粋」というえごま油も、農薬を使わず育てられた国産のえごまを低温圧搾法で搾り、α-リノレン酸の効果とまろやかな風味を保ったまま製品化されている。
安心して口にできる油。
こんな贈りものを両親にも届けたかったな。
暑い夏の毎日に、身体を大切にしてほしいというメッセージをそっと込められたことだろう。
親孝行したいときには親はなし。
そんな言葉を今、身に染みて感じている。
両親にはもう渡せないけど、このメッセージを届けたい人はたくさん思い浮かぶ。
お世話になったあの人へ、いつも忙しそうなあの人へ。
思いやりを手渡したい。
両親の墓前で静かに手を合わせた後、いつも周りで私を見守ってくださるいろんな方々の顔を思い浮かべながら帰途についた。
なんだか優しい気持ちになれた。
2025年8月8日