油屋のふたことみこと

京都イタリア料理研究会

京都には、他府県の方が感心され、うらやましがられるシェフたちの集まりがあります。
「京都イタリア料理研究会」です。
定例会は、シェフたちのお仕事が終わるころ、夜の11時半から始まります。
4年半ほど前、この会で、オリーブオイルについてのお話をさせていただきました。

9月8日、今回のテーマは、「中国料理の乾物」についてです。

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創作中華料理「一之舟入」のオーナーシェフで、
イタリア料理研究会の会員でもある魏さんが講師を努められました。

毎回100名ほどの参加があり、
会員も内容も、イタリアンだけにとどまらない、とても熱心な会です。


中華素材の乾物(乾貨)は、600種〜1000種位あるそうです。
広い国土の中国では輸送の際に腐らないよう、海の幸、山の幸を乾燥させました。
「医食同源」と言うように、栄養価が凝縮された乾貨は、病気を予防すると言われ、
また、戻した時の出汁は、お料理に香りやコクをもたらすので、
身近なものから高級品まで、中国料理にはなくてはならない食材なのです。

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左奥のくねくねして見えるのが、乾燥海鼠(なまこ)です。
右側奥の黒っぽいのが、もどしたもの。ぷるんとした状態になっています。
水を替えながら、1週間もかけてもどすのだとか!

白っぽいのは、魚の浮き袋を干したもの。
細かい蜂の巣状になっているため、スープがたっぷり入り込んで美味しくなるそうです。

これらを使って、紅焼海参魚肚(干しなまこと魚の浮き袋の煮込み)と
太平燕(タイピンエン、福建省の春雨湯)のデモンストレーションがありました。

なまこや浮き袋の、やわらかくてでもちょっぴり歯ごたえのある食感がたまりません。

太平燕は、鶏肉やアサリのほか、干したエビ、貝柱、椎茸、ゆりの花などを炒め、
戻し汁も加えて白菜やにんじんを入れて煮込んだ春雨スープです。
複雑な味わいが絡み合う、手の込んだ一品ですが、なぜかなつかしい味がします。

**すみません、写真がないのは目の前に出てきたらすぐに食べちゃう悪い癖で…**

日本の食卓でも、下ごしらえをするのに結構時間がかかる郷土料理が影を潜め、
パッと作れて、チャチャッと食べられるお料理が大半を占めています。

イタリア料理でも、伝統的なマンマの味がだんだん受け継がれられなくなり、
特に都市部のローマなどでは、ファーストフードのとりすぎによる、
子供の肥満が問題になっているそうです。

今回のイタリア料理研究会〜中国の乾物編〜に出席させていただいて、
食の原点を見つめ直すよい機会になりました。
講師のみなさん、イタリア料理研究会の皆さん、ありがとうございました。