油屋が朝ドラを見ると…
オリーブオイルテイスター
浅原貴美子
現在、NHKの連続テレビ小説は、小泉セツ&八雲(ラフカディオ・ハーン)夫妻がモデルの物語「ばけばけ」が放映されています。
明治時代の松江が舞台のこの作品、映像の暗さが話題になっているのだそうで。
実は私、始まったころからこの「暗さ」気になっていました。
「気になっていた」と言うより、「気に入って」いました。
油の歴史は、灯りの歴史でもあります。
山中油店が創業したのは江戸時代後期の文政年間(1818-1830)、お灯明用の油が販売の主流でした。
当時、お酒よりずっと高価だった油は、食用より、闇を照らす灯りとして、貴重なものでした。
明治時代になると、石油ランプが登場します。
明治の中頃には、一般の家庭にも普及するようになったと言われていますが、地方都市ではどうだったのでしょうか。
「ばけばけ」の灯りと言えば、ろうそくが印象的ですが、灯りとして、江戸時代からの「行灯(あんどん)」や「石油ランプ」らしきものがどちらも出てきます。
ドラマでは、登場人物の背景や心理の描写で、画面の明暗を作っておられるとのことですが、油屋は、当時の灯りの「暗さ」が再現されている!と興味津々です。
行灯の必需品は、油、ではどんな油が使われていたのでしょうか。
油には動物性と植物性があります。
動物の油で手に入りやすかったもの、島国日本はやっぱり魚ですね。
魚油は安価で灯り用にもしていましたが、生臭さが気になります。
室内では植物油、菜種油が使われることが多かったようです。
さて、松江と言えば、中興の祖として、また大名茶人として名高い松平不昧公を語らずに済ますことはできません。
山中油店の創業より少し前の時代(1751~1818)に、第七代松江藩主であられたお方です。
「寿々菜さく 野辺の朝風そよ吹けは とひかう蝶の 袖そかすそふ」
不昧公が、菜の花畑に蝶が飛び交うさまを詠まれた歌が思い浮かびます。

落雁製のお茶席菓子は、松江市の三英堂様謹製
あ、正直に言うと、思い浮かべたのは、歌ではなく、不昧公お好みの和菓子です(^_-)-☆
その名も「菜種の里」。
以前、松江市から宍道湖を挟んで西に位置する出雲市で見た広々とした菜の花畑が思い起こされます。

出雲市で国産菜種100%の菜種油を搾っておられる 影山製油所様の菜の花畑なのだそうです
お仏壇にお供えするお灯明を用意しながら、不昧公も菜種油のお灯明で過ごされたのかと思うと感慨深く、神妙な気持ちになりました。
令和8年2月7日