伝統的な和食に春の息吹を注ぎ込むオリアローラのレシピ EXVオリーブオイル mimi Ogliarola
エッセイスト 湧月りろ
爽やかな青い実を思わせる香りと深みのある苦さが特徴の「オリアローラ」。
おかみの浅原貴美子さんが書いてくださったエッセイを拝読して、なるほど! と頷いた。
軽やかなグリーンテイスト、クリアでエレガントな味わい。
まったくその通りだ。
おかみさんからお聞きした、山菜のほろ苦さと相性が良いとのアドバイスにも納得。
さっそく山菜を入手した。
山へ行きたいところだが、京都の町中ではなかなか難しいのでとりあえずデパ地下で、ふきのとう、こごみ、花わさびをゲット。
春の使者と呼ばれるふきのとう。
山菜のほろ苦さでまず思い浮かべるのはやはりこれだ。
定番の天ぷらにすればもう美味しいに決まっているので、今日はふき味噌にしよう。
オリアローラを使って作るふき味噌。
さあ、どんな味わいになるか楽しみ!
フライパンにオリアローラを入れて少し温めておき、サッと洗ったふきのとうを手早く刻む。
包丁を入れる度、ふわりと香る山の風の匂い。
みじん切りになる頃には、ふきのとうが「キク科」であることを思い出させるツンとした芳香に全身が包み込まれる。
“料理する幸せ”を享受するように深呼吸。
――ああ、春やぁ。
手早くフライパンを熱してふきのとうを炒めると、この春の香りに交じってオリアローラの“グリーンテイスト”が匂い立つ。
“春とグリーン”がマーブル模様を描いて辺りに漂う。
これは……いい。似合う。
そこへ混ぜておいた味噌だれを投入してしばらく火を入れる。
次第に香りが熟成されていく。
「こりゃたまらんねぇ」なんて、つい独り言が口をつく。
ふきのとうの香り成分「フキノリド」は胃腸の働きを良くする作用があると言われるが、オリアローラも同じような効果があるんじゃないか。
そんな気がする、なんとも食欲をそそる匂いだ。
さあ、一体感が出たら完成だ。
しっかり熱してもオリアローラの個性は失われず、ふきのとうが持つ独特の芳香やほろ苦さと相まって、お互いを生かし合う味わいに仕上がった。
ふきのとうの個性がかなり強いので、オリアローラは少し多めに使うのが良さそう。
オリアローラの爽やかさが、このふき味噌の味の幅をぐっと広げてくれるからだ。
このまま白ご飯にのせるのも良し。
せっかくなので、漢字にも春を持つ魚「鰆」に合わせて食べてみた。
日本酒でふんわりと蒸した鰆の淡泊な身に、フレッシュな青みを携えたふき味噌がなんともよく似合う。
春に春を足したような香り。これだけで贅沢なごちそうだ。
加熱せずに使うオリアローラも味わいたいと思い、花わさびを下ごしらえした。
花わさびのスッキリした辛みと、オリアローラのスパイシーさはちょっと似ている。
ミョウガを刻んで、ぽん酢醤油とオリアローラで和えてシンプルに味わってみよう。
おお!
ぽん酢醤油との相性が良いのは予想通りだったが、ミョウガの香りともうまく手をつないでくれている。
遅れて届くピリッとした両者の辛みはお似合い過ぎて驚き。
これも白ご飯にピッタリだ。
鯛など白身の刺身と合わせてちょっぴり和風なカルパッチョにするのもおすすめ。
その場合はオリアローラを少し多めに使いたい。
ぽん酢醤油とオリアローラの組み合わせは、
もちろん花わさび以外の青菜でも合わせそうだ。
すっかり楽しくなってしまって、他の調味料や薬味との相性もいろいろ試してみた。
その中で特に気に入ったのは、オリアローラ+生姜、オリアローラ+練りごまの2種。
次回はそれらを用いた春の食材レシピをお伝えしよう。
2025年3月30日
<レシピ>
◆オリアローラふき味噌
【材料】小鉢に一盛り分ほど
ふきのとう:50g(つぼみ7~8個程度)
オリアローラ:大さじ1~1と1/2ぐらい
☆お好みの味噌:30g
☆みりん:大さじ1
☆砂糖:小さじ1/2
1. ☆を混ぜて味噌だれを作っておく。
2. ふきのとうは刻むとどんどん茶色くなるので、先にフライパンにオリアローラを入れて少し温めておく。
3. ふきのとうは手早く刻み、温めたフライパンに投入。たっぷりのオリアローラを絡めながらしっとりするまで炒める。
4. 味噌だれを加えて弱火~中火で4~5分ほど加熱。一体感が出たら完成。使う味噌によって甘みが変わるので、甘みが足りないと感じたら砂糖を足して。
5. 温かいうちでも、冷めてもおいしい。清潔な容器に入れ冷蔵庫で10日ほど保存可能。
◆花わさびとミョウガのオリアローラ和え
【材料】小鉢に一盛り分ほど
花わさび:70g(10本程度)
オリアローラ:大さじ1
ぽん酢醤油:大さじ1
砂糖:小さじ1
塩:小さじ1/2
1. 花わさびは持ち味の辛味を引き出すため、下準備が大事。
洗って3センチほどに切った花わさびに塩と砂糖をふり、揉み込む。ビニール袋に入れてぎゅうぎゅう揉むと手軽にできる。水分が出てくるまでしっかりと。
2. 80度のお湯に10秒ほどくぐらせ、引き上げたら冷水で冷まし、すぐに手で軽くしぼって水分を切る。
3. 刻んだミョウガを加え、ぽん酢醤油とオリアローラで和える。すぐ食べてもいいし、しばらく漬けて馴染ませても美味しい。
※花わさびに刺激を与えることで辛味が引き出される。この作業を「怒らせる」と言う。
ゆでてから塩を揉み込むやり方や、ゆでて塩揉みした後に密閉容器でしばらく置いて辛味を出させる方法もある。お好みの辛味になるよういろいろと試してみよう。
メイン料理と山菜 photo by Shigeo Shibata