油屋のふたことみこと

庭の古木のあんずとオリーブオイル

店の裏の庭に、あんずの古木があります。
一説では、山中油店ができる前からこの地にあり、樹齢300年以上と言われています。
そのあんずの古木が毎年6月の半ばに大きなオレンジ色の実をつけます。

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<2009年6月12日撮影>

たくさんなる年は、そのまま炊いたり、ジャムにしたり、あんず酒を作ったり…
台所方は大仕事になります。


うちで一番よくするのは、「あんずを炊く」です。
シーズンになると、枝からとるどころか、落ちてくる実を拾うだけで大変!
それを水洗いして、種を出し、少量の水を入れてそのまま炊きます。
炊くときにお砂糖を入れないので、かなり酸っぱい!
よく冷やして好みでお砂糖をかけて食べると、スッとして暑気払いになると言われますが、
幼い頃の思い出で、いくらお砂糖をかけても甘くならなくて食べることができず、
今でも炊いたあんずにはなかなか手が伸びません。

今年は6月前半は涼しい日が多く、なかなか熟さなかったのと、
いつもより、実のなる量が少なかったので、2〜3回炊いただけで終了しました。

幼い頃の思い出はともかく、「ええ年」になってくると、暑気払いに興味が出て、
たまに食べてみようかな、と思うようになりました。
しかし、「ええ年」になってもやっぱり酸っぱい!
ジャムにしたら、確かに酸味はなくなるけれど、あんずの味わいもなくなってしまう。
この酸っぱさがキリッとしてええんや、と言われるけど、酸っぱいモンは酸っぱい!

「あんずの炊いたん」をヨーグルトに入れて、蜂蜜をかけると、まあまあ食べられます。
しかし、蜂蜜を足しても酸っぱさはあまり変わりません。

そこで試してみたのが、オレンジオリーブオイル!

ほんの少しかけてみたら、酸っぱさが和らぐのです。
酸味がほどほどに感じられて、ヨーグルトと蜂蜜の風味も引き立ちます。
すごい!

オリーブオイルには、不思議な力があるようです。
油なんだけれど、例えばスモークサーモンにかけたらかえってサッパリしたり、
酸っぱさもそうだったけれど、塩辛さが和らいだりします。

何千年もの歴史を持つオリーブオイル。
樹齢ン百年のあんずとの、新たな出会いでした。