柿とオレンジオリーブオイルで作る華やかな「柿なます」 【年末年始のおすすめレシピ】
エッセイスト 湧月りろ
鈍行列車に乗ってのんびりと車窓を眺める旅が好きだ。
駅が遠ざかるにつれ、ビルが減り家並みの合間に緑が増え、やがて広がる田園風景の中にその土地ならではの作物を探す。
こうべを垂れた稲穂が陽光を受け、金色に輝く姿が目の前を通り過ぎると、ふいにビバルディの『秋』が頭の中で流れ始める。
収穫の喜びを表す明るいヴァイオリンの音色。
跳ねるようなメロディに合わせて心を躍らせていると、一軒家の軒先にたわわに実をつけた柿の木が現れる。
急に音楽が『里の秋』に切り替わり、幼い頃の温かい思い出が胸をよぎる。
柿の木は不思議だ。
あの木姿は、人々を感慨に浸らせる力を持っているようだ。
日本の原風景をしみじみと思わせる。
師走の初め、山中油店さんの庭で実った柿をいただいた。
今年は特に豊作だったそうで、ぷっくりと丸みを帯びたふくよかな実がたいそう立派だ。
大きな箱を両手で抱えて帰った私はもう満面の笑みになり、さっそく果物ナイフでクリクリと皮をむいた。
6等分した実を頬ばると、まろやかな甘みが口いっぱいに広がる。
光を浴びてオレンジ色に染まった柿は、ビタミン豊富な自然の恵みだ。
豊かさの享受に感謝の念がこみ上げる。
柿はお料理にも使いやすい。
スタンダードな昔ながらのメニューに「柿なます」がある。
大根の薄切りと柿を合わせると、美味しさはもちろんのこと、優しめの紅白の色合いも見栄えが良い。
いつの頃からか、この組み合わせが大好物になった。
硬めの柿なら薄くスライスするか千切りにして、塩でしんなりさせた大根と和え、しばらく甘酢と馴染ませる。
前菜や箸休めにちょうどいい具合だ。
熟した柿で作れば、またぜんぜん違う料理のように仕上がる。
真っ白な大根に、まるでジャムのようにとろけた透明感のある柿をまとわせれば、これだけで主役を張れるような一品にさえなるのだ。
ふと思い付いて、ここにオレンジオリーブオイルを加えてみた。
鮮やかなオレンジのイメージが、柿に似合いそうな気がしたのだ。
食べてみるとこれがなんとも、じつに相性が良くて驚いた。
少したらしただけで、しみじみと優しい童謡のメロディから一転、跳ねるような明るいヴァイオリンの音色に変わる。
さすが、元気をくれるオレンジオリーブオイル。
華やかなパーティーメニューにしたくなるような、そんな味わいに昇華した。
もういくつ寝ると、いよいよお正月。
近年は洋風おせちも人気になり、初春のテーブルも各家庭によってバラエティに富んだものになった。
昔ながらの一品も、オレンジオリーブオイルを使うだけでちょっとしたアレンジ料理にも出来る。
みなさんもあれこれと試してみてはいかがだろうか。
オレンジの香りにのせて幸せな音楽が流れてくれば、きっと心が躍り出す。
楽しい新年の準備になりそうだ。

《レシピ》
◆オレンジオリーブオイルを使った柿なます
【材料】2人分
柿:1個(干し柿でも美味しい)
大根:5センチほど(柿1個と同量ぐらい)
塩:少々
☆合わせ酢
酢:大さじ1
砂糖:大さじ1
塩:小さじ1/2
オレンジオリーブオイル:小さじ1~2
※お手軽に作りたい場合は市販のすし酢とオレンジオリーブオイルだけで調味OK!
- 大根は薄めのいちょう切りにする(千切りでもよい)。柿もいちょう切りにする。硬い柿なら薄めに、やわらかい柿は少し厚切りに。
大根は軽く塩をして15分ほど置き、しんなりしたら水分をしっかりしぼる。
合わせ酢の材料を混ぜ、まず大根をよく和えてから柿を加えてしばらくなじませれば出来上がり。
2025年12月23日