今年は極上のサンマが豊漁! 油の違いを生かしてアレンジ料理 レモンオリーブオイル・玉締めしぼり胡麻油
エッセイスト 湧月りろ
サンマが秋を連れてきた。
今年のサンマは特別だ。ぽってりと太って脂ののった、見るからにおいしそうな姿が魚売り場に豊富に並んでいる。
秋の味覚の一番乗りに心が躍る。
数年前、もう日本ではサンマは高級魚になってしまったと嘆きの声が全国を駆け巡ったことがある。
晩夏の食卓には当たり前のように登場したサンマの塩焼きも、もう気軽に食べられないかもしれない。そんなささやきがどこからともなく聞こえてきた。
昨年(2024年)は豊漁だとのニュースで大いに期待したが、待てども待てども細身で小ぶりなサンマしか見かけないまま、いつの間にかサンマの姿は売り場から消えていた。
それがどうだ、今年は豊漁なだけでなく、とても大ぶりで最上級のサンマが初秋の風を待たぬ間にどんどん出現してきたのだ。
しかも安い。
聞けば今年はサンマの漁獲量が多すぎて、サンマ漁の出航を制限することさえ決まったらしい。
我々消費者にしてみれば、これは本当にありがたいことだ。
さて、私もさっそく張り切ってサンマを買ってきた。
まず塩焼きで味わった後、できるだけストレートにサンマを味わえる方法でアレンジを楽しむ。
そんなアレンジ法のひとつとして、油を変えてみるのはどうだろう。
いろんな油で焼いてみるだけでも変化を楽しめるし、少し調理法を工夫すれば全く違ったニュアンスの料理になる。
中でもおすすめしたいのが「レモンオリーブオイル」だ。
青魚のクセを取り除き、スッキリした香りを添えてくれるのがいい。
パン粉焼きにすると、サクッと軽やかな音がなんとも心地よく、油っぽさが全くない。
「玉締めしぼり胡麻油」で焼いて照焼き風に仕立てると、これがまた全く印象が変わった。
とても簡単な料理法でも、油を変えればバリエーションが広がる。
旬を逃さず、今こそたっぷりとサンマを味わおう。
〈レシピ〉
♦レモンオリーブオイルでサンマのパン粉焼き
【材料】2人分
サンマ:2尾
レモンオリーブオイル:大さじ3程度
てんぷら粉、パン粉:適量
お醤油やハーブ塩など、お好みの調味料
【下準備】
サンマは三枚おろしにして、まんべんなく軽く塩をふり、キッチンペーパーに並べてしばらく置く(冷蔵庫で30分ぐらい。長めでもよい)。
水分が出てきたらキッチンペーパーでしっかり吸い取る。
- てんぷら粉を水で溶き、サンマの切り身にまとわせてから、パン粉をしっかりつける。
- フライパンにレモンオリーブオイルを少し多めに敷き、中火で油を温めてからサンマを並べる。揚げ焼きのような感じで片面につき2分程度、両面ともきつね色にこんがり仕上げる。
- お好みの調味料を添えて。
※一般的なフライのように小麦粉と卵とパン粉で衣を作ってももちろん良いが、上記の調理法なら非常に軽く仕上がり、レモンオリーブオイルの爽やかさがよりいっそう生きる。手間も少し減るのでラクチン。市販のてんぷら粉はサクッと仕上がるよう配合されているので手軽なうえ失敗が少ないが、強力粉や薄力粉を使ってもOK。
※レモンオリーブオイルのさりげない香りに、お醤油がよく似合うのでおすすめ。ハーブ塩で食べるのもgood! まったり味が好きならタルタルソースを添えて。
♦玉締めしぼり胡麻油でサンマの照り焼き
【材料】2人分
サンマ:2尾
玉締めしぼり胡麻油:大さじ2
片栗粉:適量
お醤油;大さじ2
みりん;大さじ2強
にんにく;ひとかけ
【下準備】は同じ
- サンマの切り身に片栗粉をうすくはたいておく。にんにくは荒い千切りにする。
- フライパンに玉締めしぼり胡麻油を敷き、サンマを両面しっかり焼く。
- サンマを一度、皿に取り、フライパンに残った油でにんにくを軽く焼いてから(あまり焦がさないように)、みりんとお醤油を投入。ぐつぐつ煮立ったらサンマを戻して両面にからめ、照りが出たら火を止めて出来上がり。
※みりんとお醤油は基本的にほぼ1対1と覚えておくとよい。味をまろやかに仕上げたい場合はみりんを少し多めに、ご飯のお供にしっかりした味にしたい場合は心持ちお醤油を多めにしてもいいだろう。
2025年9月10日