オリーブオイル

オリーブ紀行 (2)トスカーナ編~Tenuta di Forci~

イタリア・トスカーナ地方イタリア・トスカーナ地方

斜めに傾いた塔でお馴染みのPISA(ピサ)の北西、 高速道路を下りて山間に入っていくとLucca(ルッカ)の街に行き着きます。 中心街の周囲約4kmには石造りの壁が築かれています。その高い壁越しに古めかしい鐘楼が見え、 どんなに美しい街並みが残されているのだろう、この街はどんな歴史の舞台となったのだろう、 と興味が湧きますが、イタリア・トスカーナ地方いつものことながらオリーブオイルを求めることが目的のイタリアの旅、先を急がなければなりません。

石壁に守られた街を横に見ながら山道に入っていきます。 道はどんどん狭くなってくる、急勾配になってくる、一体この先はどうなっているんだろうかと不安に陥りながら車を走らせること約15分、 突如、目の前の斜面にオリーブ畑が広がります。イタリア・トスカーナ地方そしてその丘の頂には、領主の館と一目でわかる立派な建物が聳(そび) え立っています。 これがForci(フォルチ)家のお屋敷、そう、エキストラヴァージンオリーブオイル「Tenuta di Forci」はここで作られているのです。


 

Forci家は約300年の歴史を持ち、丘の頂上、邸宅から見渡せるオリーブと葡萄の畑はすべて一族の持ち物なのだそうです。 その果てを尋ねると、はるか遠くの山にマッチ箱のように見える白い建物を指差し、「あの辺りまででしょう」とのこと。 壁に囲まれたLuccaの街が数個入ってしまうくらいの大きさです。その雄大さ、美しさを写真で垣間見ていただければ幸いです。
Forci家

クラシックな機械最初に案内されたのは以前搾油をしていたという建物です。クラシックな機械が並んでおり、 今は博物館として保存しています。初めて訪れたのに、どこかで見たような構図だな・・・と思っていたら 「Tenutadi Forci」のラベルに描かれている絵そのものです。聞くところによると、 あのラベルの絵は、Forci家 現当主の娘さんが幼い頃スケッチしたものなのだとか。
30年ほど前まで、これらの機械は実際に使われていたようです。 ここには10年前、当時のイタリア首相も訪問したといいますので、いかに由緒ある生産者であるかお分かりいただけるでしょう。

保存タンク別棟にはこれも年代を感じさせるオリーブオイルの保存タンクがあります。 タンクは「ラバーニャ」と呼ばれる屋根の瓦に使う石で作られ、土に埋められています。 現在は、このラバーニャの内側にステンレス製のタンクをはめ込んで使用しています。
埋め込まれているタンク


 

オリーブオイルこのオリーブオイルはトスカーナ地方を代表するオリーブFrantonio, Leccino, Pendolino、Maolinoを搾って作られています。香りや味はすっきりとフルーティーで口当たりがやさしいのですが、喉ごしにピリッとした辛味があり、後には清涼感が残ります。イタリアンのシェフだけではなく、フレンチのシェフからも高く評価されるオリーブオイルです。

一渡り見学した後で、古い蔵に案内されました。 そこにはここでとれたオリーブオイルとワインのほかに、この地方独特の釜焼きの丸い大きなパンとチーズが用意されていました。 焼きたてのパンにたっぷりオリーブオイルをかけ ほおばったときの美味しさ、そこにまったりとしたチーズの味が加わると、 もう感動の一言です。更にここの畑で作られた極上の赤ワインをいただきながら至福のひと時を過ごしました。
オリーブオイル