オリーブオイル

オリーブの話 (1)老舗でオリーブオイル

オリーブ京の老舗とオリーブオイル、相容れない関係のように思われるかもしれません。
けれども私たちは何故か身近なものと感じています。オリーブオイルのことや体験談をからめてその理由をお話したいと思います。

まず、製造方法をごく簡単に説明しましょう。
オリーブの実は、種ごとすりつぶし、ペースト状にします。それに圧力をかけて液体成分を取り出します。さらにその液体を水分と油分に分けて取り出されたのが オリーブオイルです。
パレスチナ地域にある紀元前6000年頃の新石器時代の遺跡から、オリーブオイルを保存してあったと思われる形跡が認められ、このころからオリーブオイルが登場したのではないかと見られています。人力が動力に変わり、水分と油分を分けるのに、比重を利用して上澄みをすくう方法から遠心分離機が使われるようになるなど、時代の変遷はありますが、原理としては数千年前から変わらず、ごく自然な状態で作られているのが オリーブオイルなのです。

オリーブオリーブオイルを直輸入するからには、どんなところでどんな人々が作っているのか知りたいと思い、いくつかの製造場所へ足を運びました。
イタリア中部のある工場に行った時のことです。ちょうど収穫期を迎えて、契約農家からオリーブの実が運ばれ、生産者名や品種が書かれたケースにオリーブが入れられていました。全てが自社農園ではないこの工場では、品質の均一化と向上を図るため、栽培時にも細かい指導をしているそうです。各農園で手摘みされたオリーブは、ゴミをのぞき、流水で洗われ、すりつぶされていきます。ここでは、このペースト状のものを搾り、水分と油分に分ける作業を一台でこなす最新の機械が導入されていますが、前述の原理は同じ。化学的な処理は一切行われていません。

オリーブオイル出来たてのオリーブオイルは美しい緑色をしていて、青っぽいフルーツにも似た何とも言えない いい香りが工場中にたちこめています。ちょうどお昼に近くなり、おなかが鳴ってしまいます。オーナーがちょっと固めのパンを焼いて、今できたばかりのオリーブオイルを惜しみなくパンの上に注いでくれました。たったそれだけのランチ、しかしこの上なく幸せな「ご接待」でした。
オリーブオイルは 何千年もの時を経ても 原点を変えずに作りつづけられている今や希少なもの。イタリアの片田舎で作られているオリーブオイル、大きな畑をたくさん持っている人、頑固なおじさん、「どうしたらこんなに美味しいうちのオリーブオイルをみんなに知ってもらえるだろう」と悩む人、日本人が来たと聞いて驚く人、いろんなオーナーがいて、いろんな農家があって・・・ でも、誰もが自分のところで作るオリーブは世界一だと自負しています。どれも個性的で、どれも美味しい。

オリーブ老舗の油の専門店として200年近く、取扱商品はもちろん変わってきていますが、お灯明の時代からモノがあふれる現代にいたるまで、常に私たちの商品は 「家庭に差し込む光」でありたいと願ってきました。
変わらぬ良さを持ち、真心こめて作られているオリーブオイルの美味しさを、もっともっと知っていただきたいと思っています。
↑熟して黒紫色になったオリーブ
どんな方にも満足いただけるよう、常に10種程度の品揃えをするよう、心がけておりますので、是非、当店厳選のオリーブオイルをお楽しみ下さい。