和のあぶら

油の話 (3)つばき油の効能について

『黒髪の秘密』
 『長い黒髪』『髪は烏(カラス)の濡羽色(ぬればいろ)』『烏羽玉(ぬばたま)の黒髪』・・・黒髪の美しさをたたえる言葉が日本にはたくさんあります。その秘密は「つばき油」です。「つばき油」は不乾性油に属し、いやな油臭さが出にくく、ベトつく感じがありません。髪の毛や頭皮にとても馴染みやすい『髪油(かみあぶら)』として平安の昔から愛用されてきました。

つばき『髪梳き油』・・大島乙女の黒髪はなぜ長い
 椿油にはテオフィリンといった成分があり、毛髪の保護やフケの除去に効果があると言われています。一昔前、シャンプーやリンスと言ったハイカラなものがなかった時代、おばあさんが、椿油をつけて目の非常に細かな「梳き櫛(すきぐし)」で、何度も何度も髪の毛を梳いていらっしゃったのをご存知でしょうか。毛髪や頭皮の手入れと、フケを浮かして梳き取る作業をしていたのでしょう。更に椿油には微量成分のミネラルや蛋白質・各種ビタミン類が含まれ、髪の傷みを癒し、潤いを与え、保護する役目をしているのです。「髪は女の命」と言われていた頃、伊豆大島では、髪の長さが身長を超える女性が少なくなかったそうです。「あんこ椿」黒髪が長く美しく保たれた秘密はこんな椿油の成分にあるのではないでしょうか。

つばき『本草綱目(ほんぞうこうもく)・・中国古文書記載より』
 中国の椿の樹は、雲南地方の海抜1000メートルの地帯に生育しており、開花から結実し、落果するまで四季十二ケ月の雨露に耐えて、天、地、日、月の精を吸収して実が出来ると言い伝えられています。この様にして出来た『油』は淡い黄色で、「性質は甘く涼しく、消化を助長し、咳や喘息を治し、痰を止め、胃を清め、腸を潤し、殺虫、解毒、軽く拭けば髪の異臭を除き、眼にも良い」と記述されています。

『椿油の特徴』
 椿油の脂肪酸組成は不飽和脂肪酸のオレイン酸が80%以上含まれており、酸化安定性に優れています。そのため化粧品原料として非常に適していることです。また、椿油には各種微量成分が含まれており、切れ毛・枝毛・抜け毛等、毛髪や頭皮の日焼けを癒し保護する働きがあると言われています。

『椿油で髪の手入れ』
 洗髪後、手のひらに椿油を数滴とってよく伸ばし、髪と地肌によくすり込んでマッサージした後、仕上げにお湯をかけて軽くゆすいで下さい。フケの防止やかゆみの除去に効果があり、髪の毛に潤いを与えます。

『椿油で高級天麩羅』
 椿油は熱安定性にも優れ高級天ぷらにも使用されます(高価なため非常に稀ですが)。