油屋のふたことみこと

高いオイルはおいしいオイル?(食用油編)

「油を選ぶ基準は?」と言うと、プロのお料理人の方からも、明確な答えが返ってくることが少ないのがちょっと残念です。

皆さんはどんな基準で選んでおられますか?

値段? 銘柄? 体にいいと言われているから? 製法まで考えて?・・・

 

山中油店の油は、他より少々高めです。

例えば揚げ油。

人気の「あっさりなたね油」は、その名の通り、あっさり、さっくり揚ります。

1升ペットボトル(1.8リットル・1650g)で、1,782円。市販のものと比べると3-5割増でしょうか。

 

こちらがお高いのには理由があります。製法が違うのです。

山中油店でおすすめしている揚げ油(あっさりなたね油・圧搾なたね油・なたね赤水・デラックスコーン油・コーンオイル・国産なたね油)は、すべて「圧搾法(あっさくほう)」のみで搾られています。原料である、遺伝子組み換えでないナタネやトウモロコシ胚芽(コーンオイルは不分別)に物理的に圧力をかけ、油分を搾り出す方法です。

 

では、市販の油は、なぜそれよりお安くできるのでしょうか。

圧搾法だけでは、その搾りかすにまだ油分が1-2割残っています。この搾りかすに化学的な溶剤(ノルマルヘキサン)を加えると、油分が溶剤に移行します。油分を含んだ溶剤を蒸留装置にかけ、揮発性の化学溶剤と油分とに分けて、油をとります。これを「抽出法(ちゅうしゅつほう)」と言い、圧搾のあとに抽出を行うことを「圧抽法(あっちゅうほう)」と呼びます。

ここで使う化学溶剤は、食品添加物として認められていますが、製造工程で使われ、除去されるので、表記されません。

 

化学的に搾り出した市販の油と、自然に搾られている当店の油とでは、味・持ち・揚げた時のにおいに差が出ます。

 

山中油店から歩いて1-2分のところにある「カフェ 綾綺殿(りょうきでん)」では、油店のおいしい 圧搾法の揚げ油を使った定食が召し上がっていただけます。

ここでお食事された方が驚かれるのは、

「サクサクしてる!」「揚げ物食べても。胃もたれしない!」「揚げ物屋さんの嫌な臭いがしない!」

一日にたくさんのお客様に来ていただきますが、開店直後でも、閉店前でも、同じ感想を頂戴しています。油の持ちがいいので、結局は経済的かもしれません。

 

おいしさは値段だけでは測れません。

でも身近にある油、ほとんど毎日使う油に、ちょっと注目していただけたら、油の専門店はうれしく思います。